FXのトレードをしているとレートというのは色々な要因で動きます。
チャートというのは「上昇トレンド」か「下降トレンド」か「レンジ」かの3つのパターンでできています。
そういったトレンドの発生や、レンジに入り込む動きというのは何かしらの要因があることが多いのです。
特に大きいのは、「思惑」と言われるものです。
トレーダー(個人も大口も機関投資家も含む)が今後の相場状況をどう捉えているかという意味にも置き換えられるかもしれません。
指標やニュースが出てから相場が動くと思っている人は勘違い
よくトレーダーではない人に聞かれるのは、「中国の財政危機がすごいことになってるみたいだけど、大損してないの?!」というようなことです。
一般的なイメージでは、国の財政危機や政治的なニュースを目にすると、僕らトレーダーは損をしているようなイメージがあるみたいです。
これは、何か事が起こったら相場が動くという考え方ですね。トレードを始めて間もない人も同じような考えの人が多いと思います。
ニュースや発言などの「事実」があって、結果として「相場が動く」というふうな考え方ということです。
例をあげるのであれば、「アメリカの経済指標の良い結果が出たことによって、米ドルが買われる」また「ギリシャの財政危機が発表されたから、ユーロが売られる」といったことです。
一般的にもこれらのイメージが強いみたいです。
世の中の流れが基本的に「事実」からの「反応」という流れになっているので同じように考えてしまいがちなんですが、実はFXの世界では必ずしもそうではありません。
では、FXの相場の世界ではどういった考え方をするのでしょうか?
実はこの考え方はとても大切な考え方なのでしっかりと頭に入れておいて欲しい考え方であります。
相場はニュースや指標ではなく、投資家の”思惑”によって動くのです。
結論から言いますと、相場というのは、ニュースや発言などの「事実」ではなくて、それらの「事実」に対する市場や投資家などの「思惑」によって動くのです。例を出しましょう。
例えば9月のアメリカのFOMCで利上げが見込まれていたとします。
そういったことは2,3ヶ月前からわかるのでツイッターや色々なニュースなどを見ているとたくさんの人が意見や考え方を書き込んでいたりします。
この時「事実」で動くのであれば、9月のFOMCで利上げが発表されることによって、その後(その発表直後の場合もあり)に米ドルが買われるという動きになります。
ですが、相場は実際にこういった動きはしません。
まず2ヶ月くらい前の7月などから米ドルが買われてきたりするのです。
つまり「9月に利上げが行われて米ドルの価値が上がる」=「米ドルが買われる」という流れを予測して(これが思惑)、「事実」の前からそういった結果発表の日に向かって動くのです。
これが「思惑で動く」ということなのです。
そして、実際に9月の発表という「事実」が知れ渡って改めて動きが出るのです。
この時に仮に「利上げが行われない」となった場合は、今まで利上げを見込んでみんながドルロングをしていたのが、一気にその根拠が崩れることになります。
つまりドルロングをしていた人が一斉に利食いをするので急落してしまいます。
この動きはわかりやすいですね。利上げも利下げもなく据え置きの場合も利下げの場合よりはましではありますが、やはり売られるということになります。
そして厄介なのが実際に市場の予測通り、「利上げ」を行った場合なのです。この時は色々な要因が絡み合って複雑な動きをしてしまうのです。
具体例としては、実際に「利上げ」発表があった時というのは、それまでの「思惑」の度合いによって反応が変わってきたりします。
市場全体に近いくらいたくさんの人達が「利上げ」を確信しすでにドルロングの場合は、追加でロングをする人間がいないのでドル買が新規で入ることは少ないです。
更に「利上げ」に向かってロングしていた人間もその理由がなくなることになりますから決済をします。
ロングの決済は「ショート」になりますからドルが売られることになるわけです。
ということは、「利上げ」というドル買要因にも関わらず、結果的にドル売りになってしまう可能性があるということなのです。これには注意が必要です。
逆に「思惑」が小さい場合は、まだドルロングの人が少ないことになりますから、実際に「利上げ」の発表があった後に米ドルをロングする人が出てきます。なので結果に合った動きになる、米ドルが買われるという動きになるということなのです。
これらは指標の結果などにも同じことがいえます。
全ての経済指標にあてはまるわけではありませんし、その時の相場状況や市場の注目度、思惑がどれだけ働いているのかによっても変わってきます。
ですが、共通して言えることは、「必ずしも結果に合った動きを相場がするわけではない。」ということですね。
このことは頭に入れておいた方がトレードをする上で良いと思われますので、事実だけを見るのではなく、「市場の心理」に注目してみてください。